図解雑学ケインズ経済学 滝川好男 ナツメ社から

有効需要とは何か具体的に考えていく。

 有効需要とは実際の貨幣支出に裏付けられた需要。ケインズの所得分析の基礎となる重要概念。(デジタル大辞泉

 財に対する欲求が、実際にその財を購入するだけの購買力の裏付けのある場合、これを有効需要と呼ぶ(ブリタニカ国際大百科事典)

 

 有効需要と比較される概念として、潜在需要がある。

 潜在需要とは、少なくともその時点では購買力の裏付けを持たない欲求を潜在需要という。これは所得の増加、価格の低下などによって顕在化する。

 

 潜在需要は、例えばリンゴで考える。ある女性が果物屋さんを通りかかったときに、リンゴが目に入った。彼女は、それを彼氏にでも買ってやろうと思ったが、それを思いとどまった。お金があまりないからだ。このとき、女性はリンゴを欲した(需要)が、それを購買するに至らなかったから、これは潜在需要だ。

 

 有効需要は、先ほど例でいうと女性がリンゴを購入する場合だ。リンゴという財に対する購入という、裏付けがあるとき、その需要は有効需要だ。

 

 たとえを使うならば、思っているだけで行動しないような有り様が潜在需要に当てはまり、思っていることと行動がマッチしていることが有効需要に当てはまる。